毎日が暇過ぎてタイプロを一気見した。
数年前ジャにのちゃんねるを狂ったように見ていてその後何を血迷ったSexyZoneのFCに2名義加入して2022年のドームツアーに参戦してみるなど、菊池風磨に何となく着目していた時期があった。出演映画の舞台挨拶に行ったりもした。それまでSexyZoneを追っていた訳ではないので実際どうなのかはわからないが、その頃の菊池風磨はSexyZoneという枠組みに捉われずに仕事をしている方が圧倒的に伸び伸び楽しくやっている、という印象があった。
これも実際のところどうなのかはわからないが、SexyZoneは元々かなりイケてない感じのグループだったと思う。曲がダサいとかそういうことではなく(ダサくもあったが)、すごくストレートに言うとメンバーのトークのテンポが遅くて、何ていうか洗練されてなかった。単純にメンバーの年が若かったのもあると思うが、それを差し引いてもイケてる感が一切無かった。陽キャに対する陰キャというのではなく、ヒエラルキーの下部に位置するという意味でのイケてなさが顕著だった記憶がある。
今になってみると、菊池風磨はこのSexyZoneのイケてなさがとにかく合わなかったんじゃないかなと思う。若かりし頃の菊池風磨がどんなだったか全く記憶に無いので実際どう思ってたのかは想像すらできないが、少なくとも2021年以降辺りの菊池風磨からはSexyZoneを愛してる雰囲気は全く感じなかった。おそらくだが彼は生まれつきイケてる側の人間で、イケてないSexyZoneというグループを居心地よく感じることができなかったんじゃないかなという気がした。
タイプロを全編を通して最も印象に残ったのは、3次のグループ審査でダンスパフォーマンスのポジション決めを議論してる最中、ダンス未経験の候補生が頑なに良いポジションを譲らずなかなか話が進まなくなった状況で篠塚大輝が口にした「もうちょい有意義に決めた方がよくない?」という一言だった。このシーン大して重要な場面でも無いのだが、その後何エピソード見てもこのシーンは忘れられなかった。
「もうちょい有意義に決めた方がよくない?」は、つまり今この場は有意義じゃない=無駄だよ、という見解を示して仕切り直す、ある種の権威性を感じさせる言葉だと思う。ダンスのできる候補生が良いポジションを踊ってそうじゃ無い人は後ろに回った方が結果的には全体最適図れるだろ、という(視聴者にもわかるほど)明らかな結論を前に堂々巡りの議論を繰り返す状況を無駄、と思った彼は正しかったと思うし、審査する側も良いポジション踊った奴だけを評価するような短絡的な審査をしないだろうという審査する側への信頼を持っているがゆえの賢明な判断という感じもした。つまりその判断自体は間違ってなかったのだが、彼のぶっきらぼうな「有意義に決めた方がよくない?」は、自分の正しさ・賢さを周囲への優しさや思いやりに変換せず、正しくない・賢くない相手を切る武器としてそのまま使っている野蛮さを感じて、ふと我に帰らされる怖さがあった。
正しさ・賢さで相手を切るということはつまり自分より下の人間を排他するという行為でもあるが、これは何というか「イケてる」性の高い行為だなと思う。「イケてる」ことの本質は何かができるとか見た目が優れているということではなく、単に下の人間より上にいる、ということに尽きるのではないかと思うが、篠塚の有意義発言はまさにその「イケてる」性が発揮されているように思われた。イケてる人間は自分より弱い/正しくない/賢くない人に寄り添ってはいけない。ダサいから。篠塚は本質的にイケている。パフォーマンスとか顔がどうとかではなく、人間性がイケてる側。より正確に言うと、イケてる人になりたいと思っている人、もしくはイケてるということに価値を見出してる人、とも言えるかもしれないし、下の人間より上にいたい人、とも言えるかもしれない。
ただ、そもそもアイドルは「イケてる」必要があるのだろうか?これはもう好みの領域かもしれないが、アイドルの輝きの本質は、イケてるというヒエラルキー上位の人間が持つ輝きではなく、むしろ誰のことも排他しないことでヒエラルキーみたいな俗世のルールを超越してこその非現実的な輝きではないか。
いかに自分がキモくてもブスでも何の力もない人間であっても常に満面の笑顔で笑っていてくれて、誰も選ばない代わりに誰のことも排除しない、そういう排他性の無さこそがアイドルの本質で、自分が排他されない、という安心感があるから人はアイドルを胸張って応援できるんじゃないだろうか。アイドルは私のことは見ないがそもそも誰のことも見てない。だからこそアイドルは恋人がいてはダメだ。誰かを愛することはそれ以外の人を排他することとどうしてもセットだから。アイドルにも恋愛する権利はあるが、ファンを排他してはいけない。
イケてる篠塚がイケてる菊池に選ばれたのはタイプロ全体を通して見るとかなり納得できる流れ。篠塚体力もガッツもありそうだし、大学も一橋だから実際頭も良いんだろう。慶應SFCの菊池風磨と被る。しかし彼らが持つ「イケてる」という排他性を軸とした輝きは、アイドルの輝きの本質とは真逆なものなんじゃないかとどうしても思ってしまう。タイプロ全編を通して、菊池と篠塚は見るに面白くても好きにはなれないと思った。好きにはなれないというか、こいつらには課金できないという気持ちかもしれない。
タイプロを見たことによって数年前から何となく気になっていた菊池風磨という存在に対する気持ちが整理できたのは収穫。篠塚好きになれないのはほぼ流れ弾です。
その他雑多に感じたことは以下
・佐藤勝利、終始顔は良いが発言内容にどうも中身が無く、他の人が言ったことを微妙に言い回しだけ変えて言い直す場面が目立って、しかし顔だけが100点過ぎてその落差に趣があった。なんか目泳いでる時多いし。デビュー時の輝きはどこへ?!でも1000mダッシュ速かったのは流石過ぎて感動した。
・通過できませんでしたが私は浜川路己さんと鈴木凌さんが好きでした。2人ともジャニーズというよりはスタダって感じで通過しなかったのもなんかわかるけど。
・しかし全編を通して最も好きになったのは松島聡さんです。良い人過ぎる。良い人であることそれ自体がエンタメとして成立していてすご過ぎる。佐藤勝利見習ってくれ!