ヘアモコモコ生活

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名前

子どもは欲しくないが、子どもの名前を考えるのが好きだ。趣味と言ってもいい。自分自身が子どもな時から、子どもの名前は何にしよう、と考えるのが好きだった。

 

私の名前は画数で決められたらしい。以前ネットサーフィンをしていたら漢字も含めて完全な同姓同名の人物が福井県に存在することが発覚したのだが、何とその人の妹も私の妹と完全なる同姓同名、ということがあった。その人の親も画数で決めたのだろう。また2年前に結婚して戸籍上の名字が変わっているのだが、それによって今度は夫の妹と同姓同名になってしまった(漢字は違う)。つまりとても普通の名前である。

 

別に自分の名前が嫌いなわけではないのだが、キャッチーでパッと目を引く名前への憧れもあり、子どもにキャッチーな名前を付けてみたいという思いは強い。付けてみたい名前そのものは幼少期から変遷に変遷を重ねているが、この思いだけは一貫している。

 

小学生くらいの頃は、とにかくかわいい感じの名前を好んでいた。当時最も憧れた名前は「くるみ」。またハヤテのごとく!がめちゃくちゃ好きだったため「マリア」「ひなぎく」も有力候補。「すみれ」なども含め、草花の名前に惹かれることが多かった。

 

中学と高校は女子校だったので、この時期は実にさまざまな女性の名前サンプルを収集する機会に恵まれた。入学式や卒業式の時は式次第に対象学年全員の名前が印刷されていたので、毎度丁寧に読み込んだ記憶がある。1度も話したことはないが2学年上にいた「瑠璃子」さんはかなり惹かれた。「のどか」も良かった。1つ下の学年には、上の子が「千」から始まる名前で下の子が「万」からという姉妹がおり、色々なシリーズ性の持たせ方があるなと感心したりした。

 

大学に入ると、共学の世界(一般社会)の男尊女卑っぷりにかつてないショックを受けた私は急速にフェミニズムに傾倒、ジェンダーについて真剣に考え過ぎた結果として「子どもがどのような性自認か予想できない以上、名前はジェンダーフリーなものにすべきだ」という強い信念が生まれた。元々ポケモンなら水タイプ、テニプリなら氷帝を選ぶ私は水属性や冷たい雰囲気に惹かれる傾向があり、さんずいを使って「汐」「渚」「涼」あたりが男にも女にも使えて良いと思っていた。「涼」さんは大学に実在していて、本人もとても素敵な人物だったので、今でもかなり好印象な名前。

一方でこのくらいの時期から「死ぬほど苦しんで産むんだから子どもの名前くらい親の好きに遊ばせてもらってもいいだろ」と、妊娠もしてないのに強い反抗心を激らせるようになった。当時フェミニズムを拗らせており、私は私のために生きる!的な気持ちが変な方向に強まっていた。元来の派手好きもあって「あげは」「野ばら」「美々(ビビ)」が有力候補。ジェンダーフリーは何処へ。色々な感情が忙しい大学生時代であった。

 

やがて大学も卒業し社会人になった私は比較的早めに結婚、出産がリアルな現実として迫ってくるようになる。しかし思ったほどの出産願望が芽生えず、今もなおイマジナリーベイビーの名前を思案する日々が続く。

現在の最有力候補は「こたつ」だ。冗談だと思われるかもしれないが本気である。今妊娠したら必ず「こたつ」と名づける。こたつはあったかくて癒されるものだし、気の抜けた響きもかわいい。しかもジェンダーフリー。下の子が生まれたら「ほたて」「あたみ」と続けたい。シリーズ性も完璧。ほんわかした感じ。

 

「こたつ」。学生時代に比べて角が取れ丸くなったものの、子どもの名前くらい好きにさせろ的な反抗心はそのまま残ってしまった私の人間性がよく表れる良い名前だと思う。リアルベイビーを産む可能性は今のところかなり低いが、「こたつ」を超える良い名前がないかよく推敲するためにも、この趣味はこの先も続けたい。